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法人の地震対策は保険だけで十分?|経営者が考えたい事業継続・資金・リスク管理の判断基準
地震対策というと、「地震保険に入っているか」を最初に考える経営者の方も多いのではないでしょうか。
しかし、企業にとって本当に重要なのは、保険に加入しているかどうかだけではありません。
「大きな地震が起きたあと、会社は事業を続けられるのか」
という視点から考えることが重要です。
建物や設備が損害を受ける。営業できず売上が止まる。従業員が出社できない。仕入先や取引先が被災する。それでも給与、家賃、借入金などの支払いは続く――。
地震は、企業にさまざまな影響を同時に与える可能性があります。
この記事では、法人・企業の地震対策について、特定の保険商品からではなく、「事業継続」「資金」「リスク管理」の3つの視点から整理します。
法人の地震対策は「何が壊れるか」だけではない
企業の地震リスクを考える際、建物や設備などの物的損害に目が向きがちです。
もちろん、建物・機械設備・什器・商品などの損害は重要な確認項目です。
しかし、企業経営への影響はそれだけではありません。
- 建物や設備が損壊する
- 営業・生産ができず売上が減少する
- 復旧までの固定費負担が続く
- 従業員が出社できない
- 仕入先の被災によって商品や材料が入らない
- 物流が止まり納品できない
- 取引先の被災によって受注が減少する
- 復旧・設備再調達のための資金が必要になる
つまり、経営者が確認したいのは、単純な「建物の被害額」だけではありません。
地震が発生したとき、会社の事業と資金繰りにどのような影響が出るのか。
ここから考えることが、企業の地震対策の第一歩です。
まず確認したい3つのポイント
1.どのような損害が起こる可能性があるか
最初に、会社の事業内容や拠点ごとに地震による影響を整理します。
例えば、製造業であれば建物だけではなく、生産設備や在庫、原材料、電力・水道などのインフラ停止も事業に影響します。
店舗であれば、建物や什器だけでなく、営業停止による売上への影響も考える必要があります。
会社によって重要なリスクは異なるため、「地震が起きたら自社のどこが止まるのか」を具体的に考えることが大切です。
2.事業が止まった場合、どれくらい耐えられるか
次に考えたいのが、事業停止時の資金です。
売上が減少しても、すべての支払いが同時に止まるわけではありません。
- 従業員の給与
- 家賃
- 借入金返済
- リース料
- 各種固定費
- 復旧費用
- 設備・什器等の再調達費用
など、会社から資金が出ていく可能性があります。
そこで、
「売上が一定期間減少しても、会社は何か月事業を継続できるのか」
という視点で手元資金や資金調達手段を確認しておくことが重要です。
3.どこまで自社で負担し、どこから外部へ移転するか
すべてのリスクを保険でカバーすることが合理的とは限りません。
会社の財務状況や事業内容によっては、自社の資金で対応できるリスクもあります。
一方、自社では負担することが難しい大きな損害については、保険などを利用してリスクを移転する方法があります。
つまり、重要なのは、
「保険に入るか、入らないか」ではなく、「どのリスクを自社で持ち、どのリスクを外部へ移転するか」
という判断です。
地震対策を「4つの箱」に分けて考える
企業の地震対策は、次の4つに分けて整理すると全体像を把握しやすくなります。
| 確認する領域 | 主な確認事項 |
|---|---|
| ① 人 | 従業員の安全確保、安否確認、避難、出社可否など |
| ② モノ | 建物、設備、什器、商品、原材料など |
| ③ 事業 | 生産・営業停止、仕入れ、物流、取引先への影響など |
| ④ お金 | 復旧資金、固定費、借入金、手元資金、資金調達など |
保険は、この中の一部のリスクに備える手段の一つです。
そのため、最初から保険商品を選ぶのではなく、人・モノ・事業・お金のどこに大きなリスクがあるのかを整理してから対策を考えることが重要です。
「保険に入っているから大丈夫」とは限らない
すでに火災保険などに加入している企業でも、契約内容を確認しておくことが大切です。
例えば、次のような点です。
- どの建物・設備・什器等が契約の対象になっているか
- 地震による損害がどのように取り扱われる契約か
- 保険金額や支払限度額は現在の資産状況と合っているか
- 事業停止による損失への備えをどう考えているか
- 免責金額や支払条件はどうなっているか
会社の建物、設備、売上、従業員数、事業内容などは時間とともに変化します。
数年前に契約した内容が、現在の会社の状況に合っているとは限りません。
地震対策とBCPは一緒に考える
地震対策を考える際には、保険だけではなくBCP(事業継続計画)の視点も重要です。
例えば、
- 従業員の安否確認をどのように行うか
- 本社や工場が使用できない場合、どこで業務を行うか
- 重要なデータをどのように保全するか
- 仕入先が停止した場合、代替先はあるか
- 誰が復旧の意思決定を行うか
- 緊急時に必要な資金をどう確保するか
といったことを平時から考えておく必要があります。
「被害をゼロにする」のではなく、「被害が起きても会社をどう継続するか」という発想が重要です。
経営者が確認したい「地震発生後の資金」
地震対策では、保障内容と同時に財務面も確認しておきたいところです。
例えば、次のような問いを考えてみてください。
- 売上が1か月止まった場合、必要な資金はいくらか
- 3か月ならどうか
- 設備を再調達するとしたら、いくら必要か
- 借入金返済や給与をどの程度維持できるか
- 現在の現預金でどこまで対応できるか
- 金融機関からの資金調達余力はどの程度あるか
- 保険等から受け取れる可能性のある金額はいくらか
こうした数字を整理すると、地震リスクを単なる「災害対策」ではなく、経営・財務上のリスクとして考えやすくなります。
保険を選ぶ前に「会社として何を守るか」を決める
法人の地震対策について相談するとき、いきなり商品比較から始める必要はありません。
まず、
① 何が起きる可能性があるのか
② 会社にどれくらいの損失が発生する可能性があるのか
③ 自社資金でどこまで対応できるのか
④ どのリスクを保険等へ移転するのか
という順番で整理すると、必要な対策を判断しやすくなります。
保険は、その判断の結果として選択肢の一つになります。
ティ・アイ・エス法人事業部が大切にしていること
ティ・アイ・エス株式会社 法人事業部では、法人向け保険について、最初から特定の商品を選ぶのではなく、まず企業の事業内容や現在の状況、経営上のリスクを整理することを大切にしています。
地震対策についても、建物や設備の保障だけではなく、事業継続、休業、資金計画などを含めて考える必要があります。
「どの保険に入るか」の前に、「会社として何を守る必要があるのか」を整理する。

法人の地震対策を「人・モノ・事業・お金」の4つの視点から整理
そのうえで、現在加入している保険、自社で保有できるリスク、保険等で移転を検討するリスクを整理し、経営者が判断できる状態をつくることを目指しています。
このような企業は、一度地震リスクを整理してみてください
- 工場・店舗・事務所など事業用建物を所有している
- 高額な機械設備や商品・在庫を保有している
- 地震が起きた場合の事業停止期間を想定したことがない
- 現在加入している保険で地震がどのように扱われるか分からない
- 火災保険を何年も見直していない
- BCPと保険を別々に管理している
- 地震発生後の必要運転資金を計算したことがない
地震対策は、「保険に加入しているか」を確認して終わりではありません。
地震が起きたあと、会社をどう継続するのか。
その視点から、現在の備えを一度整理してみることが重要です。
注意事項
本記事は、企業の地震リスク、事業継続および法人向け保険に関する一般的な情報提供を目的としています。
特定の保険会社・保険商品を推奨するものではなく、個別の保険契約の締結または加入を勧誘するものではありません。
地震による損害の補償可否、補償範囲、保険金額、支払限度額、免責金額、保険金のお支払い条件等は、保険会社、商品、契約内容、約款、特約等によって異なります。実際の契約内容については、保険証券、約款その他の契約資料をご確認ください。
